業界の期待がかかったパーソナルデータの利活用にベネッセ事件受け消費者委員会がたまらずコメント

今年6月24日に公表された「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱(PDF)」について、現在政府は民間からの意見募集を行っている。

 

この大綱では、現行の個人情報保護法制定時には実現が困難だった高度な情報通信技術を用いた方法によるパーソナルデータの利活用が「本人の利益のみならず公益のために利活用することが可能となってきている」ことから、特に利用価値が高いとされるパーソナルデータについて、個人の権利・利益を守りながら事業者の「利活用の壁」を取り払うべく、消費者の安心感を生む制度の構築を目指して見直しを進めている。

また、総務省から本日7月15日に公表された平成26年版「情報通信白書」では、2012年における顧客・取引先属性情報を含むデータ活用による全産業の売上高押し上げ効果を「60.9兆円(同年の全産業売上高の4.6%に相当)」と推定。

このように、パーソナルデータを含むビッグデータ活用による日本の産業の成長が国家レベルで推進される流れにあった。

 

しかし、ここへきてのベネッセ個人情報大量流出を受けて、こうした流れにどのようなブレーキがかかるのかが関心を少しずつ集める中、内閣府の審議会等に位置づけられる「消費者委員会」は本日、冒頭の「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」に対して意見を取りまとめた。

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 (画像をクリックするとPDFファイルが表示されます。)

 

この「意見」では内閣官房IT総合戦略室による法案の具体化を、消費者委員会としても「注視し、引き続き必要な意見を述べる」とし、「大綱」上で明らかになっていない事項について明確にすることを求めている。

 

目立つところでは以下のものがある。

  • データの加工によって個人の識別可能性を低減させた「特定可能性低減データ」については「適正な取扱いを定めることによって、本人の同意を得ずに提供等を行うことを可能とする」とあった大綱内容において、「適切な取扱い」の具体化を求め、また、問題発生時には本人および第三者機関が迅速に調査できる措置を用意すべきと進言
  • その「特定可能性低減データ」の「適正な取扱い」の実効性を確保するため、「適正な取扱い」に違反する行為を刑事罰の対象とすべき
  • 大綱での「(個人情報の)利用目的を変更する際、本人が十分に認知できる手続を工夫しつつ、新たな利用目的による利活用を望まない場合に本人が申し出ることができる仕組みを設けて本人に知らせることで、利用目的の変更を拒まない者のパーソナルデータに限って変更後の利用目的を適用すること等」について、オプトアウト方式による利用目的の変更を安易に認めることは不適当
  • パーソナルデータの利活用に端を発した紛争の処理体制については、第三者機関が行政型ADRとして紛争処理を担うとともに、民間のADRの活用を検討する必要がある
  • 大綱は、個人データにより識別される本人が、オプトアウト規定を用いて個人データの提供を行っている事業者を容易に確認できる環境の整備を模索しているが、最近発覚した大量個人情報流出事故に鑑みるに、情報のロンダリングを許さず、また、いわゆる名簿屋に対する規制も含めた実効的な対策の在り方の検討が急務