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TOEICテスト、試験対策特化の学習は460点以下に限り有効? 広島大グループが調査

TOEIC事業を運営している一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は先月、「授業外での英語学習の違いがTOEICスコアの伸びに与える影響」と題するレポートをTOEICテストの公式ホームページに掲載した。

 

[PDF]「授業外での英語学習の違いがTOEICスコアの伸びに与える影響」

http://www.toeic.or.jp/library/toeic_data/toeic/data/pdf/5_J.pdf

 
これは広島大学外国語学教育研究センターらによる“Effects of different types of out-of-class learning on TOEIC score gains”を、IIBC・TOEIC運営委員会が邦訳したもので、日常的に英語学習を行う機会のない社会人がTOEICテストに向けて学習する際の参考となるかもしれない。


本レポートの概要部分では、すべての3年生が同じ時間だけ英語学習をしたとの仮定のもとで、TOEICテストの点数が460点以下の学習者においては、一般的な英語学習よりもTOEICテストに向けた試験対策を行う方が点数を上げる効果が高く、460点以上ではその逆となる示唆が得られたとしており、これは試験対策が習熟度の低い学習者にとって有効であるとする先行研究に一致するものであるという。


広島大学ではTOEIC IPを1,2,3年生に対して実施しており、そのスコアは大学が提供する英語教育の改善のために利用されており、今回の研究もその一環として行われたもの。

各年次では大学が英語教育を行う時間数が異なり、広島大学では学生の年次が増すにつれて、英語カリキュラムの授業数が減る傾向にある。

https://i.gyazo.com/465a5180350f9aa2e3e84a99d9234d2d.png



そうした状況下で、研究グループは学習者をTOEIC対策のみを行った「TEST-PREP群」、TOEIC対策を行わず一般的な英語学習を行った「GENERAL群」、その両方を行った「MIXED群」に分け、全体2,721名のデータを分析。
通常の英語授業がなくなる3年次で特に、「TEST-PREP群」と「GENERAL群」との間に交互作用が観測され、その両群の式が事前テスト460点付近で交差し、これが冒頭で紹介した研究概要を示唆するものと解釈している。

なお、本研究では学習者の学習意欲の有無や、期間内における学習方法の変更の有無を完全に反映することは出来ていないため、妥当性に疑問が残るとしており、今回得られた示唆を断定することなく、さらなる研究を重ねる必要があるとレポートでは総括されている。

 

参考

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