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企業年金連合会がマイナス金利で激おこ! その矛先は信託協会に

企業年金連合会は25日、「信託財産の銀行勘定貸運用におけるマイナス金利の適用について(申入れ)」という資料を公表した。

資産運用に係る要望等|委員会活動及び提言等|企業年金連合会


申入れの相手は一般社団法人 信託協会。
各信託銀行が企業年金に対して、マイナス金利相当分の費用負担を求めている現状について、費用負担に対する説明が不足しており、顧客の同意を得ない強行的なやり方ではないのかと、質問状の形式で回答を要求している。

 
発端は日本銀行が1月29日に導入を発表した、新しい金融政策である「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」政策。

量的緩和を進めながらも、金融機関による過度の日銀預金を抑制したいという意図からも政策が導入されたとみられ、一定水準を超過した日銀当座預金に対しては、懲罰的にマイナス0.1%の金利が適用される。

そのため結果的に、金融機関側は顧客からの大口預金をあまり歓迎していない状況である。


一方で、働いた人々が将来受け取る企業年金の資金はその全額が運用に回されるわけではない。
短期的な支払が予定されている部分を、長期的な運用資産に振り向けるわけにはいかないのだ。

東洋経済オンラインの記事によると、このような「余資等」部分は運用資産全体の約4%と推定されている。
つまり、日銀のマイナス金利政策が効いてくるのはこの部分なのである。

これまでは、短期金融市場で運用できていたこの余資部分だが、マイナス金利政策で短期市場は急縮小。短期運用は極めて困難となった。


こうした状況から、信託銀行各社は、この余資部分にかかるマイナス金利負担を各企業年金に求めたというのが、冒頭の申入れの背景だ。
企業年金の意見を集約した連合会は、このやり方があまりに一方的すぎるのではと申入れを行った。

この申入れ書では、14項目からなる質問事項への回答を要求しており、質問は「何故、日銀によるマイナス金利政策が、給付資金の原資となる企業年金の銀行勘定の運用に適用されるのか」と、それを信託銀行側に尋ねるのか?といった内容で始まっている。
信託銀行も、なにも好き好んでマイナス金利を適用させているわけではない。

ただ、こうした疑問を提示する背景には、信託銀行はマイナス金利負担を企業側に過度に押し付けていないかという企業年金側の懸念も透けて見える。


余資等の水準が急に増えたわけではない。
にもかかわらず、余資部分全体に一定率を掛けて算出される「信託事務費用」負担を企業年金に要求してくる。

これで漫然と、信託銀側の「言い値」で費用負担を受け容れてしまったならば、結局、割を食うのは企業年金の受給者たちだ。
彼らが損害賠償請求を企業年金相手に行うことだって、容易に想定されるはずである。


また3月には、業界の要請を受けた日銀は、株式や投資信託など金融商品を買い付ける際の一時的な預り金の運用先であるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)に、前年の受託残高を上限にマイナス金利を適用しないことを発表した。
企業年金側としても、信託銀行や信託協会として、企業年金にマイナス金利をなるべく負担させないような努力が足りないのではないかという疑念は強いものと思われる。


日銀は政策発表当初、マイナス金利幅について、今後さらに拡大させることも意図していたようだが、サプライズを演出したことが裏目にも出ており、マイナス金利政策への評判は芳しくない。
報道を見る限り、こうしたマイナス金利の「深掘り」には慎重な意見も出ているようだが、足下ではマイナス金利政策の影響で、企業の年金債務も拡大している。

 

空前の金融政策が巻き起こす混乱は今回の一件に終わらず、まだまだこれからも噴出しそうだ。