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「積立NISA」の新設、デリバティブ取引の損益通算…金融庁、29年度の税制改正要望を発表

31日、金融庁は「平成29年度 税制改正要望項目」を公表した。

金融庁の平成29年度税制改正要望について:金融庁


各社の事前の報道通り、年間投資上限額60万円、非課税期間を20年間とする「積立NISA(現行NISAと選択制)」の創設などが、過去からの要望事項に加えて盛り込まれた。

この「積立NISA」は手元資金が十分でない若年層向けに、積立型かつ長期・分散投資に適した投資商品を対象とするなど限定を付した上で、恒久措置としての導入を目指している。

 
また、現行NISA関連では、非課税期間(5年間)終了時に、含み益が出ている場合のロールオーバー可能額(現行120万円以内)の拡大、含み損を抱えている場合の課税口座への「払出価額」を払出時の時価ではなく取得原価にするなどの対応や、投資可能期間(現行:平成35年まで)の恒久化を要望。

 

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(図表は金融庁「平成29年度 税制改正要望項目」より)

 

この他、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等へも拡大(農水省・経産省も共同要望)することや、上場株式等の相続税評価額について、相続時から納付期限まで(10ヶ月間)の価格変動リスクを考慮したものとすることなどを要望している。

金融庁側は、この「価格変動リスク相当額」について、平時では10%程度(リーマン・ショック期や東日本大震災時のような急変時には約17~22%)と過去のデータから試算。
上場株式等の相続税評価額はこれと同程度割り引いて評価することが適当としており、ひとまずは不動産等と比べて割高な評価額を、時価の90%程度にまで引き下げたい考えだ。


主要な要望には他に、クロスボーダーのレポ取引における非課税要件から国内短資会社や清算機関等が排除されていることへの対応や、企業年金等の積立金に対する特別法人税の撤廃(厚労省主担、財務省ほか4省庁が共同要望)などが盛り込まれている。

これらの要望は他省庁からの要望と合わせて与党の税制調査会などで話し合われ、年末に出される税制改正大綱で、諸要望への対応方針が明らかとなる見通しだ。