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「ファイナンス中毒」のテラちゃん、業務提携先の業績をデコる

社長が株式を不可解なほどに安価、大量に市場外で売却していたバイオベンチャー、テラ㈱は10日、「台湾の上場バイオテクノロジー企業、Vectorite Biomedical Inc.とテラのがん免疫療法の台湾における技術移転等に関する業務提携契約を締結」とする適時開示資料を公表した。

 

第三者委員会*1を設置して調査を進めている関係で2Q決算発表が遅延している現状において、テラにとっては本契約に基づき一時金が支払われる(支払日は不明)のみならず、その後もロイヤリティ収入が入る可能性があるとのことで、黒字化に期待する投資家にはささやかな恵みの開示となっている。(開示翌日は株価が一時+20%超となったが、ストップ高には至らず後半失速)

 
しかしアウトサイダーズに“ファイナンス中毒” とDis られ、一部開示ウォッチャーもテラに注目する中、今回の開示資料にも気になる点が見つかったようだ。

 

以下は、テラが今回の提携先である台湾の「Vectorite Biomedical Inc.(鑫品生醫)」について公表した経営成績。

(すべての画像は大きく表示できます。)

 

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出典:[PDF]台湾の上場バイオテクノロジー企業、Vectorite Biomedical Inc.とテラのがん免疫療法の台湾における技術移転等に関する業務提携契約を締結

 


この提携先企業は台湾で上場している(4170.TWO)ため、財務諸表が公開されている。

 

そこにある営業成績(連結)は以下の通り。

f:id:call_me_nots:20180911113346p:plain

(勘定科目の対訳補記は筆者が「台湾の会計基準と勘定科目対訳 | 台湾ビジネス・M&A支援コンサルティング」などを参考に行った。)

 

あれ、開示資料は粗利の数値を「営業利益」として表示しているじゃないですか。
たとえ言語が違っても、損益計算書に見慣れていれば このくらい気付くはずですが、営業赤字なのに営業損益の段階ではプラスと(見栄えをよく)開示では表示しちゃっています。

 

もちろんこれを「意図的な」記載違いと認めることはしないでしょうけれども、であればこの会社の開示体制は大丈夫?ということになりますね。

 

8月10日時点での会社発表では、

  • 第三者委員会による調査 平成30年8月13日~同年9月7日
  • 太陽有限責任監査法人による調査 平成30年9月3日~同年9月14日
  • 決算発表及び四半期報告書の提出 平成30年9月14日

 

となっており、忙しくてミスったんだから勘弁してくれといった感じでしょうが、進捗いかがでしょうか。三者委報告書お待ち申し上げております。

*1:まったく関係ないですけど、委員の中に「ひふみ総合法律事務所」の弁護士さんがいらっしゃるのが面白かったです