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「適時開示アワード2022」ノミネート開示一覧

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たくさんのご推薦誠にありがとうございました。

チーム内で選定しました結果、ことしのエントリーは以下の通りとなります。

(投票フォームはコチラまたは本ページ最下部に設置しております。なお、SurveyMonkey の有料化範囲の拡大に伴い、今年はGoogle フォームから投票を受け付けます。)

※恐縮ながら複数投票禁止のためGoogle アカウントでのログインが必要となっておりますが、メールアドレスなどの収集は一切行っておりません。

 

「適時開示アワード2022」ノミネート開示一覧

順番は銘柄コード順です。

エントリーNo. 1    3808    オウケイウェイヴ    株主による臨時株主総会招集請求に関するお知らせ
エントリーNo. 2    4890    坪田ラボ    「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書」の提出に関するお知らせ
エントリーNo. 3    6035    アイ・アールジャパンホールディングス    第三者委員会設置に関するお知らせ(ダイヤモンド・オンラインの報道を受けた当社元役員に関する追加調査の実施について)
エントリーNo. 4    6195    ホープ    子会社の破産手続開始の申し立て及び債権取立不能に関するお知らせ
エントリーNo. 5    6425    ユニバーサルエンターテインメント    TRLEI にて発生した不法占拠等の違法行為に関するお知らせ
エントリーNo. 6    6541    グレイステクノロジー    特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ
エントリーNo. 7    7205    日野自動車    特別調査委員会による調査報告書公表のお知らせ
エントリーNo. 8    7816    スノーピーク    代表取締役社長執行役員山井梨沙の辞任と代表取締役社長執行役員の交代について
エントリーNo. 9    8358    スルガ銀行    株主による当社第211期定時株主総会に関する株主権妨害禁止仮処分命令等の申立ての却下決定に関するお知らせ
エントリーNo. 10    8892    日本エスコン    株式会社エスコンアセットマネジメントに対する行政処分について

 

エントリー作品紹介

 

エントリーNo. 1

銘柄コード:3808 オウケイウェイヴ

[PDF]株主による臨時株主総会招集請求に関するお知らせ

悪びれず食い物にされ続けた老舗Q&Aサイト

日本のインターネット関連産業について、その黎明期からご存じの人からすれば知らないはずはない老舗Q&Aサイト「OK WAVE」。

当社は2020年、MSCBによって調達した資金を活用して、暗号資産交換業者「LastRoots」を取得し、「フィンテック事業」に乗り出すも多額の赤字を計上。
これが重しとなって財務を圧迫し続けていた。

当該事業の継続を断念する一方で、株価下落に伴うMSCBの償還リスクも当然に顕在化することとなり、当社虎の子の事業でもあるソリューション事業を手放すこととなった。


そうして食い扶持を削ってまで得た資金は目先の投資収益欲しさに、Raging Bull合同会社(以下、R社)という得体の知れない自称投資業者に注ぎ込まれた。

R 社は大手ネット証券からIPOの特別枠を割り当てられたので、R 社に運用を委託すれば確定的な収益が得られるとして投資の勧誘を行っていた。

オウケイウェイヴ法務部はR 社について、「金融庁への登録又は届出が必要だが、何らの登録及び届出もなされていない」「契約締結前書面の交付もない」などといった当然の不審点を指摘し、取締役への投資中止の申し入れを行っていたが、当時のN 取締役はこれらの指摘に「ここで契約締結できなった場合の損失について責任が取れるのか」と返答。
当社取締役会はR 社への巨額投資へと突き進んだ。


もちろんその結果は法務部の懸念通りとなり、R 社の投資運用が架空のポンジスキームであったことをR 社自身が認めて破綻
一部の配当金以外の投資元本など、当社の純資産額の7割超がパーとなった。

当初は「投資の失敗は自身が責任を取る」と説明していた社内取締役もいたが、外部から招聘されていたH 社外取締役が「一身上の都合」で辞任した以外の動きはさらさら無く、しびれを切らした大株主が経営陣刷新を求めて臨時株主総会の開催を請求。
無事に開催されることとなった。


当社取締役会はこうした取締役らの責任を問う動きに対して、当社が資金繰りに窮して「危急存亡の秋」にあり、当該取締役らが「様々な対応の最中」であるのに解任するのは不適当であるとの謎の言い訳を行って、経営陣刷新の議案に反対意見を表明。
その言い訳のクセに議決権行使者に対してクオカードを配って議決権行使を呼びかけるなど無茶苦茶な抵抗を試みたが、臨時株主総会の結果、無事に経営陣が交代することとなった。

なお、追い出された経営陣の主要人物らは引き続き、この臨時株主総会の決議が無効であるとの主張をして抵抗している。

 

エントリーNo. 2

銘柄コード:4890 坪田ラボ

[PDF]「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書」の提出に関するお知らせ

ロックアップ「違反」止まらず 擁護する業界に不満も

上場直前に行った株式の割当てを受けた者は、当該株式の上場により短期利得を得やすいことから、新規公開株式の取得者との公平性をケアするために株式を一定期間売却できないようにする、いわゆる「制度ロックアップ」が取引所規則によって求められている。

…などという文章を書いたのがちょうど1年前。
2年連続で「ロックアップ違反」事例が今年もノミネートした。


今回やらかしたのは学校法人慶應義塾
当社は慶應義塾に対して、2020年12月に16,000株の第三者割当増資を行っており、今回の新規上場において慶應義塾はこの制度ロックアップ対象者となる。

これに伴い慶應義塾側も株式上場日以後6ヶ月を経過する日までの間は、当社株式を第三者に譲渡しない旨、またやむを得ない理由により当社株式を第三者に譲渡する場合は事前に当社に書面にて通知をする旨の確約書を提出していた。


しかし、そんな「確約」をしておきながらも、慶應義塾側はさっさと上場初日に全株を売り抜ける事態に。
一応言い訳として「慶應義塾は売却前に日興証券に対してロックアップの対象であるかについて問い合わせを行ったものの、日興証券は当該規制の対象ではない旨の回答を行っていた」とは供述するものの、そんなものは「確約」失念の言い訳には当然ならない。

今回の一件も、本来的には売却側が一方的に悪いことなのだが、慶應義塾は本件について「結果として譲渡制限期間中の売却取引の実施にいたりました」と雑な釈明をする一方、当社と主幹事であるSMBC日興証券はひたすら自分たちの慶應義塾側への情報伝達ミスだとして平謝り。

昨年の一件でおなじみのように制度ロックアップ違反には何ら罰則はなく、「濡れ手で粟」となりやすい自称「制度ロックアップミス」に対する投資家の目線は強くなる一方だが、いまだに制度的な手当てがなされる動きは本格化していない。

 

エントリーNo. 3

銘柄コード:6035 アイ・アールジャパンホールディングス

[PDF]三者委員会設置に関するお知らせ(ダイヤモンド・オンラインの報道を受けた当社元役員に関する追加調査の実施について)

火のないところに火をつける

昨年、突如アジア開発キャピタルからのプロキシーファイトに追い込まれた新聞輪転機メーカー「東京機械」。その事業の性質から大手メディアを巻き込む大激戦へと発展した。

当初はかなり厳しい戦いが予想されたが、敏腕MA弁護士ら最強の布陣が大手議決権行使助言会社の支持を取り付けることにも成功し、臨時株主総会にて買収防衛策を無事可決。防衛を果たした。


この「最強の布陣」側で東京機械の防衛側にいたアドバイザーがIRジャパンだったが、それから一息ついた今年6月、同社顧問にスライドする予定だった副社長が突然「一身上の都合」で辞任した。


3日後にはその答え合わせをするかのように、証券取引等監視委員会がインサイダー容疑でこの元副社長の関係先を強制調査していることが報じられた。


その後に設けられた調査委員会の調査において、当時の社長は過去に自分が招聘していたこの副社長の管理が不十分であったとして任命責任を感じており、辞任までのラスト1年間は特に副社長が社内で野放し状況にあったことが分かっている。


そこからさらに半年後、開示タイトルにもある通り、ダイヤモンド・オンラインは前述の東京機械vsアジア開発キャピタルプロキシーファイトにおいて、アジア開発キャピタルに東京機械株の買収提案を行っていたのが、まさかのその副社長であるとの衝撃的な報道が飛び出した。

当該報道の真否については現在、IRジャパンも第三者委員会を設けて調査を行っているが、副社長の当時の予定を確認したところ、報道された時期において実際にアジア開発キャピタル接触していた可能性があることが判明しており、当社の行動のまさかのマッチポンプぶりが「市場の死の商人」すぎると話題となった。

 

エントリーNo. 4

銘柄コード:6195ホープ

[PDF]子会社の破産手続開始の申し立て及び債権取立不能に関するお知らせ

逃げるは恥だが生き残れ!?

もともとは広告配信系ビジネスで自治体からの信頼を獲得してきた当社。2018年にはその信用を生かし、当時の「新電力」ブームに乗っかって、自治体向けを柱とする電力事業を開始。

一時はグループ売上高の9割超を電力小売事業が占め、業績の柱としても期待されてきたが、発電能力を持たない当社も他の新電力での例に漏れず、2020年末からの電力卸売価格の高騰で電力調達コストが売電価格を大幅に上回る、いわゆる「逆ざや」状態が長期間継続。業績が大幅に悪化し、会社存続が危ぶまれるレベルの債務超過となった。


そこで同社が行ったのが、対象事業を子会社へ吸収分割による承継を行い、そしてその子会社を本開示の通り破産させるという異例の対応。
発生していた電力会社に対する膨大なペナルティ債務の未払いにより破産した子会社「ホープエナジー」について、親会社のホープ本体自体はこの債務に対する保証を一切しておらず、負担していないという形式で切り離して、ホープ本体としての存続を企図した。


母体から切り離した未払ペナルティ問題は今のところ顕在化していないようには見え、いったん親会社の存続はさせているものの、決算期変更で債務超過判定を遅らせるなどあらゆる手を尽くして純資産の回復を急ぐ展開。

ホープエナジーと契約していた自治体や公共施設も新たな契約先を探さなければならなくなり、結果として自治体からの信用を毀損した格好となるが、本業のメイン顧客は引き続き自治体であり、たとえ今回の債務逃れが成功したとしても事業拡大をしていけるのかは悩ましい状況が続く。

 

エントリーNo. 5

銘柄コード:6425 ユニバーサルエンターテインメント

[PDF]TRLEI にて発生した不法占拠等の違法行為に関するお知らせ

追い出された創業者が武力で「不法占拠」

ラニャケ市警の警官及び私設警備員約 50 人などを引き連れて、不法に TIGER RESORT LEISURE AND ENTERTAINMENT INC. の役職員数名を強制的に施設内から退去させ、主要な従業員を何の権限もなく不当に解雇するという暴挙を働きました。


2017年6月29日当時、当社の会長であった創業者が、「株主総会の秩序を乱す可能性が高いと判断」され、株主総会への入場を拒否されて取締役から解任。
この「ワンマン創業者」の退場から5年、日本人の名を唯一冠するカジノ「オカダ・マニラ」にその彼が戻ってきた。


--経営権の奪還ではなく、武力による「不法占拠」として。


当社によると今年5月末に、この創業者は冒頭の通り当社所有施設を不法占拠。
各部門の主要従業員や、創業者側の指示に従わない従業員を不当に解雇し、施設の運営基盤を奪取した。

当社が「重大な犯罪行為」と糾弾した、現地の警官まで投入されたこれらの行為に対し、当社は正攻法でフィリピンカジノ運営公社と正当な国家警察の支援を受けて管理権を「奪還」。
10月には占拠時の強要の疑いで創業者が逮捕される事態にまで至ったが、その後保釈されており、一部ではこのカジノ経営権闘争はまだまだ続くのではないかとの見方もある。

「あの時代の日本人カジノ経営者」という異例の経歴から生まれるバイオレンスを、今後も現経営陣は正攻法で鎮めることは出来るのか。

 

エントリーNo. 6

銘柄コード:6541グレイステクノロジー

[PDF]特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ

「中小企業」が無理やり上場してみた

既に上場廃止となった会社だが、その契機となった架空売上の計上等を調査した報告書。
2021年に創業者が鬼籍に入った頃には業績が落ちはじめ、遂には粉飾が発覚した。


蓋を開けてみれば上場前から売上は前倒し計上されており、その回収も追いつかず、結果的には会長以下経営陣が売上の架空計上をフルバックアップ。発覚直前期の架空売上の割合は50%を超えており、「成長企業」と評価されていた姿は完全に幻であった。

機関投資家に対する自らのコミットメント、成長をこだわるあまりの行き過ぎた目標設定や、現場への強すぎるプレッシャーで「成長企業としての虚栄」を維持しようとするあまり、伝説のシニアコミュ事件よろしく売掛金の残高確認状はきっちり取引先から回収。

さらにこれら架空売掛金の回収には役職員が上場で得ていた株式売却益(個人マネー)をその原資とするなど、およそ上場企業とは思えない自転車操業を行っていた。(なお、当該入金額は各自が退職時に会長から和解金名目で返還されるというこちらも酷い有様。)


報告書には名ゼリフも多く入っており、虚栄を維持するための現場への恫喝めいた経営陣からのプレッシャー、企業の成長を見せかけるための創業者の苦悩なども克明に記録され、ただの不正に関する報告書のみならず、創業者をはじめとして経営陣が狂っていく過程も読み取ることができる。

 

何か外面ばっかりこう作ってしまってきてるな。大企業なんですかね(笑)。中小企業としてやってた、つまり上場する前にやってたいい部分も、全然とんと見えないです。

もう本当に冗談抜きで寝ても覚めても俺上場してからさあ、数字のことばっかり。もう上がるまでこんなに数字ごりごりごりごり考えたり、追いかけたりってなかったわ。めちゃくちゃしんどい。

 

無理な上場とは、かくも人も組織も狂わせるのか。

 

エントリーNo. 7

銘柄コード:7205 日野自動車

[PDF]特別調査委員会による調査報告書公表のお知らせ

毎年恒例、今年の「暗澹たる調査報告書」枠

製造するオフロードエンジン等について、国に提出していた排ガスなどのデータに不正があった問題の調査報告書。
当初不正なデータは2016年から報告していたとされていたが、結果的には不正報告は20年以上前から続けられてきたことが明るみになった。

約360ページとなった調査報告書は、印刷すれば物理的に重いが、従業員アンケートから浮かび上がってくる社内の様子は心理的に暗くて重苦しいものであった。


2016年の三菱自動車における燃費不正問題を受けて国交省が各自動車メーカーに対し、同様の不正がないか調査を求めた際にもユルユルの報告体制で平然と虚偽報告を行っていた当社。
特別調査委員会はそれ以前からも不正な報告が行われてきた背景に、そもそもパワートレーン実験部が開発業務と認証業務の双方を担当していたり、その実験部が作出するデータの生成機構やローデータを品質保証部門・品質管理部門が把握していないなど、お決まりのガバナンス問題に詳細な検証を行って迫っていく。


また、SNS ではこの報告書の終盤に引用される従業員アンケートに、こちらも旧態依然の日本企業あるあるである当社のパワハラ・上意下達体質が報告されており注目が集まった。

先輩が新人にする教育は高圧的で、脅迫することで、『上には逆らえない』を植え付けさせるものであったと感じる。このような教育もあってか日野自動車は上の意見は絶対で、神様の様に崇め、上(神様)が決めたことが絶対であり、未達成はありえない風土が形成されていった様に考えられる。
人事制度が形骸化し、評価の物差しが不明確で、評価制度が機能していない。
結果、「あいつはそろそろあげてやろう」といった年功序列や「上の言うことに素直に従う」イエスマンが昇格しやすかったり、能力に見合った昇格が行われない。

特に、基幹職への昇格についても同様なため、マネジャーとしての素養や知識、自分の仕事をマネジメントできない人まで昇格して、部下のマネジメントができない。
また、事なかれ主義でいても時がきたら昇格、チャレンジや意見を主張してもプラスの評価がないため、自分で意志を持たない、考えない、言わない、といった人材が量産された会社となっている。


報告書は他にも、問題を起こした担当部署や担当者が、他の部署も数多く出席する会議の場で、衆目に晒されながら、問題の原因や対応策について説明を求められる、通称「お立ち台」と呼ばれる地獄の舞台についても言及。


最終的に調査委員会は当不正の真因として「①みんなでクルマをつくっていないこと」「②世の中の変化に取り残されていること真因」「③業務をマネジメントする仕組みが軽視されていたこと」の3つを指摘した。

 

エントリーNo. 8

銘柄コード:7816 スノーピーク

[PDF]代表取締役社長執行役員山井梨沙の辞任と代表取締役社長執行役員の交代について

突然のスキャンダルに「アンチ」が歓喜

「人生に、野遊びを」をスローガンに、「スノーピーカー」と呼ばれる熱狂的なファンを擁するアウトドアブランドを展開する当社。
当社はファンとのコミュニティづくりを重視し、ファンの購買意欲を途切れさせない仕組みを確立し、その強大な地位を独自に築いてきた。

しかし、熱狂的なユーザーコミュニティというのは、近接する他メーカーのユーザーからヘイトを買いやすいものであり、ネット上にも多くのアンチ・スノーピークが少なからずいるとされる。


そんな中に今年降って湧いたのが、この開示にある突然のスキャンダルによる創業3代目の社長執行役員の辞任騒動。
本人から「既婚男性との交際及び妊娠を理由として、当社及びグループ会社の取締役の職務を辞任したいとの申し出があった」とのことで、会長執行役員である父が一部役員報酬を減額。彼が社長執行役員職を兼務することとなった。


デザイナー出身のキャリアをここまで順調に歩んできた彼女のスキャンダラスな電撃辞任劇には衝撃も大きく、大手メディアも大きく報道。


このニュースは「アンチ」にとって、当社を叩く格好の材料と思われたのか、たちまち大炎上することとなり、当社もこの動きに対して9月には「誹謗中傷等に対する法的措置について」というリリースを開示して過度な誹謗中傷は許さない姿勢を示した。

 

エントリーNo. 9

銘柄コード:8358 スルガ銀行

[PDF]株主による当社第211期定時株主総会に関する株主権妨害禁止仮処分命令等の申立ての却下決定に関するお知らせ

スルガ被害者対策? 株主総会「抽選参加」で場外闘争

適時開示アワード2018で大賞を獲ったスルガ銀行
当時、スマートデイズかぼちゃの馬車」に代表されるシェアハウス不正融資など、「およそ銀行とは思えない」杜撰な経営姿勢によって、本来ならば融資されるべき属性でないサラリーマンらシェアハウスオーナー「被害者」はこの数年にわたって債務のカットなど被害救済を求めて訴訟を行ってきた。

そうした行動が実を結び、2020年にはシェアハウス不正融資問題の被害者らが「借金帳消し」という大きな成果を得た一方、その問題の他にも投資用不動産詐欺の被害を受けたという人々が現れてきた。

彼らは次々に当行の株式を取得し、株主総会に参加する権利を得て、自らの主張を株主総会の場で訴えることも増えてきた。
以前は同行の本店で行われていた株主総会も、そうした参加者の急増に伴い、別施設で開催されるようになっている。


本件開示はそうした状況に、コロナ禍という特殊な環境が組み合わさって生み出された作品である。
2021年の株主総会ではコロナ禍真っ只中であるにもかかわらず、そうした株主の一部が総会の最中に大声で不規則発言を行ったり、ソーシャルディスタンスを無視して議長に詰め寄る場面も散見されたという。


それもあってか同行は2022年の株主総会において、参加したい株主に事前登録を求め、そこからさらに外部業者に委託する抽選によって参加できる株主を絞るという作戦に出た。

本来ならば当然にすべての希望者が株主総会に参加できるよう配慮すべきであるが、コロナ禍における株主総会運営のあり方について2020年、経済産業省法務省が共同で「株主総会運営に係るQ&A」を取りまとめ、会場に入場できる株主の数を制限することも可能であるとの見解を示していた。


こうした同行の動きには当然、前述の「一部株主」も反発。同行の決定が「株主参与権の行使の侵害」にあたるとして、制限つき株主総会の開催をストップさせる仮処分を申し立てたが、本件リリースの通り、静岡地裁はこの申し立てを却下。


来年以降の株主総会がどうなるかは未定だが、ひとまず特殊な環境下で同行の特殊な作戦が認容されることとなった。

 

エントリーNo. 10

銘柄コード:8892日本エスコン

[PDF]株式会社エスコンアセットマネジメントに対する行政処分について

REITはゴミ箱」説、再燃

今年、証券取引等監視委員会の検査を受けて3ヶ月の業務停止命令を含む行政処分を受けたエスコンアセットマネジメント(以下、EAM)は、関西や首都圏を中心に全国で不動産の総合開発事業を展開する当社の子会社としてREITの運用を行っている。

一般の投資家から集めた資金で複数の不動産などを取得し、そのインカムゲインおよびキャピタルゲインを投資家に分配する投資商品である不動産投資信託J-REIT)は、その商品の性質から不動産関連会社によって組成されることが多い。


ただ、こうした不動産投資信託業界の構造は利益相反関係を内包しているといえる。
最悪の場合は、どさくさに紛れてゴミ同然の物件が関連する不動産業者からREITに持ち込まれたり、優良物件が廉価で外部に流出したりすればREIT投資家らの利益は容易に毀損され得るからだ。

もちろんこのようなことは簡単には起こらないように、J-REIT市場もその発展に伴ってプレイヤーらの内部統制の完備を求められている。


そんな中にEAM が指摘された「忠実義務違反」。
EAM が当社から不動産3物件を取得するに際し、不動産鑑定業者に当社(日本エスコン側)の売却希望価格を伝達するなどしたうえで、鑑定評価額が当該売却希望価格を上回るものとなるよう、算定を依頼した不動産鑑定業者に対し、鑑定評価額を引き上げるための働きかけを行っていたという事実が指摘された。

この他にもEAM が運用するREITに、日本エスコンの不動産を日本エスコン側の売却希望価格で取得させることを目的とした不適切な不動産鑑定業者選定が行われており、REIT投資家の利益を親会社に付け替えたともとれる不正が指摘され、久々に利益相反問題がREIT界隈を賑わすことに。エスコンリートの価格も一時15%下げるなど反響は大きかった。