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米国のある保険会社が「計算モデルの見直し」で株価暴落 「過小評価」に投資家も戦慄

ズドーン。

 
それにしても酷いチャートですね。

ニューヨーク証券取引所に上場するGenworth Financial, Inc. (GNW)は5日、Genworthへの投資家に対して、ある大きな衝撃を与える発表を行いました。
その結果が先ほどのチャート。株価は前日比で38%もの下落を見せています。

その”衝撃”の主因は、Long-Term Care Insurance(介護保険)分野における、著しい「過小評価」にあったといいます。

 
介護保険といえば日本では公的な保障とそれに伴う保険料徴収体制が一般的によく知られていますが、米国では医療保険やメディケア、メディケイドなどではカバーできないような、自立した生活を送ることが出来なくなるリスクへの備えとして人々の需要が高まってきていたといいます。

しかしながら、近年はLong-Term Care Insurance分野において保険契約者が長生きし、当初の想定以上の期間にわたって保険金支給が行われるなどした結果、契約者が支払う保険料の水準も高騰していました。*1


ここまで書くと、もう何となくGenworth側が何を著しく「過小評価」していたのか、勘の良い方にはお分かりかと思います。
Genworth側は2014-3Qの決算報告の中で以下のように説明しています。

Long Term Care Insurance
Long term care insurance net operating loss was $361 million, compared with net operating income of $6 million in the prior quarter and $41 million in the prior year. During the quarter, the company completed a comprehensive review of its long term care insurance claim reserves conducted over the past few months. The company made changes to its assumptions and methodologies primarily impacting claim terminations, most significantly in later duration claims, and benefit utilization reflecting that claimants are staying on claim longer and utilizing more of their available benefits in aggregate than had previously been assumed in the company's reserve calculations. As a result of these changes, claim reserves were increased $531 million pre-tax or $345 million after-tax. Results in the quarter also include an unfavorable $35 million after-tax correction of a claim reserve calculation of benefit utilization for policies with a benefit inflation option.

http://investor.genworth.com/investors/news-releases/archive/archive/2014/Genworth-Financial-Announces-Third-Quarter-2014-Earnings-Results/default.aspx

 

これをBusiness Insiderはものすごーく要約して、「簡単な表現に言い換えると、契約者が加入していたロングターム・ケアプランは、会社が当初モデル化(想定)していたよりも、さらにロングターム(長期間)のケアプランにしちゃっていたということ」だと解説しています。

要は、もっと契約者からカネ取らないと割に合わないことに会社が気付いたということですね。

In plain English, "claimants ... staying on claim longer" means that people on a long-term care plan are making that plan longer term than the company had modeled.


Genworth Financial Shares Crash, November 6 - Business Insider

 
Genworth側はこの問題を、当四半期に行ったLong Term Care Insuranceにおける、保険数理上の仮定やモデルの見直しを含む包括的なレヴューの中で発見したといい、この結果計上された損失は純粋な過小評価分の穴埋めに限らず、Long Term Care Insurance事業におけるのれんの減損も含んでいるそうです。

また、同社はさらに他の保険についてもモデリングを精査するとのことで、結局最終的な影響額がまだまだ拡大する可能性もレポートで触れており、投資家らの恐怖を煽っています。

そして本件で、思いも寄らぬところの名前が挙がっておりました。

http://i.gyazo.com/869ece781203dd88f9e11446a29af4b2.png

John Paulson | Paulson & Co

 

サブプライム危機前でのサブプライム・ローン商品の価格付けにおいて、まさに「過小評価」されていたクレジット・リスクを、クレジット・デフォルト・スワップを買うことでショートしたことで知られるヘッジファンド「Paulson & Co.」の経営者。

このPaulson & Co.は、直近までGenworth株をヘッジファンドの中では最多の900万株(全体の1.81%)を保有していたのだといいます。
株価は1日で5ドルも下落していたのですから、普通であれば単純に掛け算しただけでもなかなかのインパクトですね。

もっとも、この「直近」とは6月30日時点のことですので、それ以降に手仕舞っていたりした場合は関係のない話ではありますが。
こればっかりは次のForm 13-Fが出てないと何とも言えないのでしょうね。