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【すごい】早くも財産調書へのビットコイン不記載でペナルティを受ける強者が出現

仮想通貨トレーダーの皆さん、確定申告の準備は進んでいますでしょうか?


そんな中、国内での仮想通貨税務の最先端を行く個人が出現していると話題です。

 

Twitter 上にアップロードされた画像やツイートによると、この方は平成28年の所得税申告において、仮想通貨に起因する所得を未申告であったことが、税務署の調査をきっかけに判明。
修正申告の結果、すでに納めている税額とは別に、追加で所得税および復興特別所得税を747,900円納付することとなりました。

しかし、このくらいでは「最先端」とは言いにくいでしょう。
そのように表現する理由は、その後に続く当局の処分に関する記述です。

 

結論から言うと、この方を最先端たらしめているのが、今回上で述べた追加の税額に、さらにペナルティ的に課される「過少申告加算税」に関する記述です。

 

税務署の調査を受けた後に修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金の他に過少申告加算税が課されてしまいます。
そのペナルティ金額は通常、「新たに納めることになった税金の10%相当額」となっています。*1

 

このピュアな過少申告加算税10%を課されているケースも、それなりにはあるでしょう。


そして、金額的には大したことないながらも仮想通貨税務界では先進事例の1つに挙げられそうなのが、そこから更に課されているペナルティ


内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条3項の規定により計算した9,500円を加算

です。

 

これは、平成 28 年1月から施行されている「財産債務調書制度」から来ているペナルティで、この制度は

 

(1)その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超え、


かつ、


(2)「財産」の合計額が3億円以上(その年の12月31日時点の価額)*2を有する

 

人は、それらの「財産」の明細等を記載した「財産債務調書」を税務署に提出しなければならないというものです。

 

これに対して、この方は「財産債務調書」に仮想通貨ビットコインを記載しなかったことで、その記載しなかったビットコインに関する過少申告加算税が5%加重されることとなったのです。


おそらく、「財産債務調書制度」創設時には、税務署への報告が求められる「財産」に、仮想通貨も該当するのかどうか明確な記載はありませんでした*3が、今回の税務署からの処分理由によれば、年末時点の合計所得および時価で上の2つの条件を満たす方は、仮想通貨を「財産債務調書」に載せなければならないことが、ほぼ確定的となったということになります。

 

今回の方は投資家さんとのことで、本業の収入も仮想通貨以外の資産も大きいとみられ、財産債務調書は提出していたと思われますが、結果的に仮想通貨に関する記載が漏れていたことでペナルティを受ける結果となっています。

 

なお、本件では仮想通貨が正確に記載されていれば、その記載されていた仮想通貨に関する過少申告加算税は、むしろ5%「軽減」されるというメリットが用意されています。


ちなみに、もう平成28年度の仮想通貨申告の摘発に乗り出しているのかと驚く声も見られましたが、この方によりますと、あくまでも本業で税務調査を受けた際に、通帳に記載されていた大手仮想通貨取引所への送金の記録から足がついたに過ぎないもようでした。


とはいえ、特に昨年は全般的な仮想通貨の価格の大幅上昇がありましたから、確定申告が必要な方はもちろん、年末評価で思わず上記2要件を満たしてしまう方もいるでしょう。

確定申告の必要性はさることながら、今一度「財産債務調書制度」についても以下のPDF等で確認しておくことをオススメします!

参考情報

nots.hatenablog.com

*1:ただし、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額を超えている場合、その超えている部分については15%

*2:又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産

*3:https://www.nta.go.jp/ntc/kenkyu/ronsou/88/05/index.htm では、「仮想通貨を保有している場合、財産債務調書や国外財産調書については、法令に基づき仮想通貨に関する情報を記載する必要があるとしている。」という記載があることは知られていたが、誰(もしくは何)が「必要があるとしている」のかに関して明確な記述は見られなかった。