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「新聞にも軽減税率」 この悪手で今後の消費増税が難しくなる理由

税制・税務

先週木曜日から急角度で盛り込みコースへと入ってきた新聞への軽減税率適用。

自民党・谷垣幹事長と公明党・井上幹事長はきょうも協議を行うが、2017年4月の消費税10%増税時に加工食品全般を対象にする方向で最終調整に入った。

宅配を中心とした新聞も対象とする見通し

減収は1兆円規模は軸。両党は今日中に決着させたい考え。

p.jcc.jp

 

なぜ新聞に軽減税率が必要なのですか?|聞いてください!新聞への消費税軽減税率適用のこと|日本新聞協会

のような要望があったのは知っていましたが、にわかには信じられませんでした。

 

先週にはこんな増田が話題になる中、

anond.hatelabo.jp

 

いよいよ昨日、報道各社はその方向性が「自公で一致」と報じました。

 

自民関係者によると、発行部数のうち宅配率が一定以上となる日刊紙を対象にする案がある。

 雑誌や書籍など出版物の扱いについては、対象とする範囲の線引きが難しいとして、引き続き協議することにした。

www.asahi.com

 「宅配率」なる謎指標がいきなり出て来ておりましたが、本日になって、以下のようにまとめられたとの報道がなされております。

 

宅配は8%で、駅売りなどは10%となる見通しだ。16日にも決定する与党税制改正大綱に盛り込む。
 政府・与党は新聞や書籍について、生活必需品かどうかを精査。新聞は日常生活における情報媒体として幅広い層に読まれているが、購読料が低所得者に相対的に重い負担になっていることに配慮した。

www.jiji.com

 

 「生活必需品かどうか」という観点から、宅配の新聞は軽減税率を適用し、駅やコンビニエンスストアなどの販売では10%を適用する方向で調整が進んでいるそうです。

 

しかし、「生活必需品かどうか」が論点なのであれば、こちらも同時に検討されるべきものなのではないでしょうか。

 

安倍晋三首相は11日開かれた経済財政諮問会議で、携帯電話料金の家計負担軽減が大きな課題だとして、高市早苗総務相に対して料金引き下げの検討を指示した。

jp.reuters.com

 

携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」第3回においても、この首相直々の指示を受けた高市総務相は、

 現在スマホの普及率は約50%に達しましたが、携帯電話自体 を所有しないひとは約21%存在。

総務相は「弱者の見守りや災害時のインフラ、経済成長の牽引へIoTの時代を築くためにも、スマホの普及を拡大していか なくてはならない」と語り、ユーザにとって納得できる料金体系の設定と、事業者側の工夫などの努力を求めました。

sp.oshiete.goo.ne.jp

 

と、一種の「インフラ」としてスマートフォンを捉えており、現政権が携帯電話を生活必需品と考えていることは、直近の報道を見ていて疑いようのないものだと思います。

逆進性対策なのであれば、これまた携帯電話の通信料や端末代金が、「低所得者に相対的に重い負担になっている」と論じることも出来るでしょう。

 

それに加え、国民の「知る権利」を理由に新聞への軽減税率導入を正当化するのであれば、そこにネット接続のための通信料も同様に検討されて然るべきではと思います。

 

こうしてみると、これまで食品中心だったはずの議論が急に拡大して「新聞への軽減税率適用」まで漕ぎ着けるのであれば、以下を参照しても、これはもう露骨な選挙対策と断言してよさそうですよね。

 

「行為者率」とは該当する仕切りの期日、今件の場合は1日単位でその行為をした人の割合を示す指標で、いわば利用者率のようなもの。

…(中略)…

インターネットは20代から30代がピークで、あとは歳の経過と共に急激に落ちる。一方で新聞やラジオの世代間格差は大きい。特に新聞は10代で3.6%、20代でも9.2%に留まっているのに対し、60代では58.7%にまで達している。

bylines.news.yahoo.co.jp

 

しかも、選挙対策費としては一時の歳出ではなく、経理負担を大幅に増やした上での、(軽減税率適用が続く限り)恒久的な施策となっており、質の悪さでいえば定額給付金を遥かに凌駕するものといえそうです。

 

消費増税の必要性を煽っておきながら、自らには大甘の姿勢をとる大手新聞の矜持のなさは叩かれて然るべきですが、当然それを叩く側に軽減税率は適用されないわけです。

それゆえに今後、万が一、消費税率の再引き上げを議論する際には、新聞紙面による増税主張は嘲笑されることになるとするのであれば、今回の一件は「再増税」論議へは大きくマイナスにはたらくことになるのではないでしょうか?

 

したがって、さらなる消費税率の引き上げに反対する層は、今回の宅配新聞への軽減税率適用をいつまでも批判し続けることが、戦略的に有効なのではないかと私は考えます。


もしそうなれば、財務省にとってはあまりにイタすぎる200億円の歳入カットとなりますが、果たして。