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経済系メディアの「割り算したがり病」と「株価単純比較しちゃう病」

 

経済系メディアの、この「割り算したがり病」はどうにかならないのでしょうか。

 
前年同期(しかも1クウォーター)の連結営業益と比較して約20倍になったことに、それを見出しにするほどの重要性はあるのでしょうか。
どう考えても数字のインパクトを利用したいだけとしか思えません。

 

また、つい先日も以下のような記述がありました。

 

NECが今、IFRSに移行しない理由 :記者の目 :企業 :マーケット :日本経済新聞

意識し合い、切磋琢磨してきたライバル。ふと気がつくと随分と差を付けられてしまった……。そんな経験は誰しもあるもの。NECは今、そんな状況にある。10年ほど前まではほぼ拮抗していた、富士通との株価格差がここへ来て一段と開いているのだ。759円の富士通に対し、NECは323円(30日終値)。半分以下の水準に低迷する。

 

これって、期間前後の比較がないため、普通はA社の株価がB社の株価の「半分以下」であることが、良くないことのように読めてしまいます。

言うには及びませんが、株価同士の比較にほとんど意味はありません。
今回はIFRS移行をにらむ富士通と、移行を打ち出せないNECとの対比により、IFRS適用による利益面での「見かけの変化」の有無が両者の株価に及ぼす影響を、株価変動率*1を比較することで示したかったものと思われますから、

富士通の今期の連結純利益は1250億円の見通し。前期に参考値として公表したIFRSベースでの純利益(1132億円)からは10%増益にとどまるが、日本基準の純利益(486億円)から見ると2.6倍に拡大する水準。この「見かけの変化」だけが理由でもないかもしれないが、富士通株は3月末に比べ22%上昇した。一方で、NEC株の上昇率は2%に満たず、日経平均株価の上昇率2.3%にも届かない。株価の格差は今年3月までは辛うじて2倍以下だったのが、いつの間にか大きく引き離された。
(同記事より)

株価上昇率*2を比較するまでは理解できるのに、急に「株価の格差」という謎概念を持ってくるあたりがもう意味不明です。

 

まあこの程度でしたら、残念な程度で済むのですが、かつてこんな記事も各社で報じられていました。

ホンダの株価、トヨタを一時逆転 バブル後初めて

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100204NT001000104022010.html (2010/02/04。現在は削除済)

4日前場の東京株式市場でホンダの株価がトヨタの株価を逆転した。 
寄り付きはホンダが前日比160円高の3300円だった一方、トヨタは同140円安の 
3260円。 
終値でもホンダがトヨタを上回れば、1990年のバブル経済崩壊後、初めてとなる。 

 

株価が逆転したから何なんでしょうか。

その現象にニュース性があったであろうことは分かりはするのですが、当時、各社のこうした記事に少なくない投資家が呆れていたことをはっきりと覚えています。

 

利益を対前期比で割り算したり、株価同士を比較したりという記事を目にする度に呆れてしまっているのが現状です。

*1:調整後でお願いします

*2:調整後であってほしい