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仮想通貨ホルダーが死んだら遺族は悲惨 国会での答弁が一部で話題に

仮想通貨の税制に関することで度々国会で質問をしている藤巻健史議員が、2018年3月23日に行った質問が一部で話題となっている。

質問は①仮想通貨のパスワードを知らないまま仮想通貨を相続した相続人に相続税が課されるのか、②3年以内に相続した仮想通貨を売却した場合、有価証券の譲渡のように、その相続税が購入コストに上乗せされるかどうか、の2点。

 

このうち、②に関しては土地や株式の譲渡による所得は原則譲渡所得に区分されるが、仮想通貨の譲渡による所得は原則雑所得に分類されるため、星野次彦主税局長は「慎重な検討が必要である」として現時点では仮想通貨への相続財産を譲渡した場合の取得費の特例適用には否定的な見解を示した。

 

そして、一部で話題になっているのが前記①の「仮想通貨のパスワードを知らせずに亡くなったら」問題。
以下に答弁を引用する。

 

[藤巻健史君]
ちょっと細かい話になるんですけれども、税制がどうなっているかということで、仮想通貨の相続時の税制についてお聞きしたいんですが、仮想通貨のリスクというのは、パスワードを忘れちゃうともう引き出せないということがあるわけですね。

親が亡くなったときに、子供にパスワードを教えないで亡くなってしまうと、子供はもう引き出せないわけですよね。
どこ行っちゃうか分からない。

それでも相続税は掛かるのかどうか。

 

[政府参考人(藤井健志君)]
仮想通貨に関連いたしますビジネスがまだ初期段階なんだと思います。

 

そういう意味で、仮想通貨に係る制度整備は途上ではないかと考えられますので、現状においてなかなか確たることを申し上げるのが難しいということはございますけれども、パスワードを知っている、知っていないというようなパスワードの把握の有無というのは、当事者にしか分からない、言わば主観の問題ということになってしまいます。

 

課税当局、私どもとしては、本当のことをおっしゃっているのかどうか、その真偽を判定することは困難だと思っております。

 

したがって、現時点において、相続人の方からパスワードを知らないという主張があった場合でも、相続税の課税対象となる財産に該当しないというふうに解することは課税の公平の観点から問題があり、適当ではないというふうに考えております。

 

gclip1.grips.ac.jp

 


コインチェック事件以降、仮想通貨の保存におけるセキュリティ体制が取引所および個人において強化される中、大事なパスワードは複雑な文字列に設定しているケースも多い。

 

また、そうして複雑に生成されたパスワードは、自分しか知らないことがほとんど。
本人の生年月日やその他の個人情報のような文字列もパスワードを特定する手がかりにならず、親族はこの場合、形式上は引き継いだ仮想通貨をどうにもすることが出来ない可能性が高い。

本人がパスワードを紛失して頭を抱える事態すらあるのだから当然である。


もちろん、仮想通貨ホルダーがそうした資産の在り処を誰にも話していない場合は、遺族は仮想通貨を形式上は相続していることすらも知らないことが考えられる。

 
だが、こうした場合でも課税当局が仮想通貨の在り処を発見した場合は、この「取り出せない資産」に対する相続税が追徴されることになる。

 

「相続人の方からパスワードを知らないという主張があった場合でも、相続税の課税対象となる財産に該当しないというふうに解することは課税の公平の観点から問題」というのは至極真っ当なお話だが、実際に起きてしまえば遺族としてはたまったものではない。

 

遺言書にパスワードを書き記すときが来るのか?
家族は要チェックかもしれない。