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今年からの年末調整がどれだけエグいか、みんなに分からせる

年末調整の季節ですね!

「今年はいくら還付かな~」なんて思ってたら、会社から渡された資料に感じる違和感。

あれ?3枚もあったっけ…。

 

単身者なら関係ありませんが、ご夫婦ならば今年の年末調整では国税庁から以下のような試験問題が届いておりますので、まずは電卓をご用意下さい。

 

《第1問》 次の【資料1】から【資料3】に基づいて、以下の各問に答えなさい。(表は画像であり、クリックして拡大表示することが出来る。)

 

【資料1】

・甲氏の2018年度における給与収入(税込): 5,000,000円

・甲氏の配偶者(満35歳)の2018年度における給与収入(税込): 1,680,000円

・甲氏夫妻には、給与以外の収入はないものとする。

 

【資料2】

給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額となります。

※ 給与所得の金額は、次の表により求めた金額となります。

( 参考:給与所得の金額の計算方法)

f:id:call_me_nots:20181129151531p:plain

 

【資料3】

「配偶者特別控除の額」については、下の表を参考に記載してください。

(「配偶者控除の額」については、図表下の脚注を参照。)

 f:id:call_me_nots:20181129151746p:plain

「配偶者特別控除の額」は太枠内を参照すること。

ただし、配偶者の合計所得金額が38万円未満となる場合、甲氏の配偶者の年齢を考慮した「配偶者控除の額」は、上表「配偶者の合計所得金額」の区分が「38万円超 85万円以下」における「配偶者特別控除の額」と同じものとする。 

 

問1 甲氏の合計所得金額(見積額)を求めなさい。

問2 甲氏の配偶者の合計所得金額(見積額)を求めなさい。

問3 甲氏の平成30年度の「配偶者控除の額」又は「配偶者特別控除の額」を求め、以下のいずれかの解答欄に記入しなさい。

ただし、両方に金額が記載されている場合には、採点を行わない。

 配偶者控除の額  配偶者特別控除の額
        円         円 

 

 

…なんつって、こんな問題を急に会社から出されたらどうしますかね?

実はこれ、今年からの年末調整で国税庁が提出を求めている「配偶者控除等申告書」でフツーのサラリーマンに記載を要求しているものなんです。

(解答は文末に)

ワザと設問形式にはしましたけど、以下のPDF 見てもらえれば、条件増えるんで実務のほうがもっとキツいと思いますけど。

 

もちろん、多くの人は年収900万円超えないでしょうから、問1は答えなくてもよいとしても、共働きなら残りの問題はフツーの人にとってはなかなかの難問です。

今度リニューアルされるセンター試験のどっかの科目に出題されても笑えないレベル。

 

さすがにウチの社員全員にこれを解かせる気にはなれなかったので、先ほどのPDFを ではなく(国税庁もヤバいと思って作っていた)Excel ファイルの提出をお願いすることにしました。

 

だって、国税庁が用意していた「記載例」が地獄なんですもの。

f:id:call_me_nots:20181129154805p:plain

所得者本人の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の合計所得金額が38万円以下(収入がない場合)かつ年齢70歳未満の場合

 

多くの場合は配偶者控除になるでしょうから、あんまりそう目くじら立てんなよ、ってのもあるんでしょうけど、だったら「配偶者特別控除申告書」にしてくれればいいわけだし。

 

もちろん、国税庁が悪いのかと言われれば、フリーランスや配偶者など働き方が多様化している現実に即して与党の税調が改革を進めている過度期特有の辛さの出始めで、それに従いながら実務に落とし込まざるを得ないという感じなんでしょうけども、いやいやいやマイナンバーどこいったんだよ。

 

というわけで、これから地味な複雑化された手作業が増えると思うと、惨憺たる気持ちドップリな年末なのでした。

【本問の解答はこちら】配偶者控除等申告書 - Google スプレッドシート

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