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「汚すぎる」ケフィア・ビルの謄本は「カモ」リスト? ケフィア事業の二次被害に警戒を

干し柿やメープルシロップといった加工食品の「オーナー制度」を大規模に展開して出資を募っていた「ケフィア事業振興会」が本日、破産手続きの開始を申し立てたと報じられた。

日本経済新聞によると、負債総額は約1053億円で、債権者数は計3万3747人に及ぶという。

 

そんな中、ケフィアのイメージと真逆を地で行く、㈱ケフィア事業振興会が保有する「ケフィア・ビル」の謄本が話題になっています。

 

 

 

なぜこんな汚い感じになっているかというと、ケフィアはこのビルすら出資を募って建てていたからです。

 

「ケフィア事業振興会」が、東京都千代田区に2010年、自社ビルを建設する際に出資を募り、5千人以上から計約40億円を集めていたことが1日、分かった。

 自社ビルについては出資金の元本や利息は予定通り返済されたが、ケフィアグループ被害対策弁護団の弁護士は「既に自転車操業に陥っていた恐れがあり、オーナー制度や社債名目で集めた金をビル事業の返済に充てていたのではないか」と話している。

ケフィア、本社建設でも出資募集 | ロイター

 

このビルへの出資には年3~3.1%の利子が付されて、結果的に完済とはなっているようで、東京商工リサーチによると

 

 登記簿の乙区は、ケフィアを債務者とした年利3.1%の金銭消費貸借で埋め尽くされている。権利者(債権者)欄には、一般個人名が記載されている。建物登記の担保番号は5,177件に達し、すでに亡くなり、家族などが相続したケースも120を超える。

 金銭消費貸借契約は、2015年4月ごろまでに期限が到来したもようで、これら登記は解除を原因としてほとんど抹消されている。

ケフィア事業振興会 会員向け支払いが遅延、数万人に影響か : 東京商工リサーチ

 

とのことです。

 

 

つまりは5年の出資で100,000円が115,500円(土地の場合)となったわけで、結果的にはメデタシメデタシなのでございますが、気になるのは乙区にて抹消されている事項でございまして。

 

たとえば、個人が貸し付けて抵当権者になった場合、当該不動産の乙区は以下のような記載になります。

 

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東京商工リサーチの記事にもありますように、「権利者」の氏名のみならず住所まで載ってますよね。そりゃそうです、第三者に対抗したいわけですから。

 

しかも、今回のケフィア・ビルの謄本には「5千人以上」の債権者が記載されているとのことでした。

彼らは元利金の弁済を真っ当に受けたのではありますが、とはいえ「ケフィア事業振興会の出資募集に乗ってしまった人々」であることには変わりがありません。

 

ということはこれって、実質的には合法に入手できる「カモリスト」になっていませんでしょうか…。

 

 

実際に、安愚楽牧場事件の際には、安愚楽への債権者リストが出回り、「被害に遭っている債権を額面の30%で買うので、3,600万円で別会社の株式を購入して欲しい」という、詐欺の二次被害にまで遭った方がいたりします。

安愚楽牧場に関するトラブル速報!第3弾−「被害を取り戻す」という二次被害のトラブルに気をつけて−(発表情報)_国民生活センター

 

そんなアホな、とお思いでしょうが、東京商工リサーチの記事によれば、たった5、6年前の出資ですでに出資者の40分の1程度がお亡くなりになっているようですから、今回の干し柿事件も、ご高齢の出資者がかなり多いものと推察されます。

 

もはや、帰ってこないケフィアより、次の親族の被害をいかに防ぐか、という点に重きを置いて考えるべきときかもしれません。

被害に遭って早々で、そんなこと考えている場合じゃない、という感じかもしれませんが…。

 

ちなみに

やはり謄本が膨大すぎて、登記情報提供サービスでは取得できないもようです。

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管轄の登記所へ行けば、事件処理中でない限り閲覧できますが、写しを取得する際、登記事項証明書の写し1通の枚数が50枚を超える場合には、その超える枚数50枚までごとに100円がかかります。(リストの価値に比べれば、「だから何」というレベルでしょうけども)