自称ベガス発の仮想通貨「サークルコイン」騙る詐欺、まさかの税務調査で露見
ラスベガスの「ネオシード」社が発行したとする「サークルコイン」を販売していた合同会社エクラドクール社(那覇市)が東京国税局と沖縄国税事務所の税務調査を受け、2017年5月期までの2年間で約9億円の所得隠しを指摘されたと各社が報道している。
共同通信によれば、追徴税額は重加算税を合わせて約3億円という。
仮想通貨販売で9億円の所得隠し 那覇、「サークルコイン」 | 共同通信
しかし、「仮想通貨販売会社、9億円所得隠し 国税局指摘 :日本経済新聞」によると所得隠しに関して気になる表現があり、
関係者によると、エクラドクールは米国の「ネオシード」が発行する「サークルコイン」と呼ばれる仮想通貨を販売。仕入れ代金として約9億円を経費に計上していた
同局などはネオシードに実体がなく、仕入れ代金は架空経費になると判断したとみられる。
さらっと怪しいことが書いてありますが、これはどういうことでしょうか。
そもそもこの「サークルコイン」とは、ラスベガスの会社「NEOSEED CORP.」が発行したとする暗号資産だという設定で、かつ、仮想通貨交換業者(取引所)での取り扱いはなく、「すでにサークルコインを購入している人からの紹介がないと買えない」という、きな臭さ満点のバーチャル資産だといいます。
仮想通貨『サークルコイン』とは?新たなコイン『サークルコイン』を徹底解説 - COINNEWS
そして、報道されているこの「NEOSEED CORP.」に関する情報を整理すると、
- 「NEOSEED CORP.」(米国)はエクラドクール(那覇市)の代表を務める男性の知人らが設立
- そもそも「NEOSEED CORP.」に実体がない
- 「サークルコイン」もエクラドクール社から依頼を受けた東京のシステム開発会社が発行していた
- なので、エクラドクールによる「NEOSEED CORP.」からの「サークルコイン」仕入れという処理は架空仕入れと判断
ということで、税務当局が「典型的な詐欺コイン」と判断しているのと同等と評価できそうです。
実際の勧誘行為も典型的な手口であり、「100円で上場するのは確定しているので、30円台の今のうちに借金してでも買うべし」というもののようで、販売総額は分かりませんが、架空仕入れの金額が2年間で9億円に及ぶことを見るに、10億円レベルの額を集めているものと思われます。
集団訴訟を”合同会社エクラドクール”に対して起こす!サークルコイン販売
この他、なかなかに闇深な広がりを感じさせるエントリなどもありました。
Wowbit(ウォービット)の前身はCircle Coin(サークルコイン)か: 背後にエターナルコインやハヤシファンドの影 - 投資案件検証委員会
今回は架空経費による追徴課税であり、たとえそれを支払ってもまだ数億円が浮くことになるのですが、こういうとき金融当局よりも税務当局の動きの方がやっぱり速いんだなあという感想です。